日本人エグゼクティブの「丁寧な説明」が、なぜグローバル拠点では「意思決定の欠如」と誤解されるのでしょうか。
丸の内の会議では「文脈(コンテクスト)」が重視されます。一方、ニューヨークやロンドンの会議では「結論の明確さ」が重視されます。日本人エグゼクティブのコミュニケーションは、しばしば伝統的な起承転結の構造に基づいています。いわば、ストーリーとして展開されるものです。
起(Introduction): 背景を示す
承(Development): 文脈を丁寧に展開する
転(The Twist): 重要な変化や論点を提示する
結(Conclusion): 結論を示す
日本のハイコンテクストなビジネス文化では、結論が明示されず、言語化されないことが少なくありません。前提やデータを共有すれば、相手も同じ結論に至るはずだ、という暗黙の前提があるからです。日本ではそれで十分に機能します。いわゆる「空気を読む」ことで意思が伝わるためです。
しかし、グローバルなエグゼクティブ環境では、この前提は必ずしも共有されていません。結論が明確に示されない場合、意図した通りには受け取られない可能性があります。それは「配慮」や「洗練」ではなく、「方向性の不明確さ」や「準備不足」、あるいは「難しい結論を避けている」と受け取られる可能性があります。
重要な意思決定の場において、グローバルリーダーが用いるのがPREP法です。スピードと明確さを重視した構成です。
P(Point): まず結論を述べる
R(Reason): その理由・背景を示す
E(Evidence / Example): データや事例で裏付ける
P(Point): 結論と求めるアクションを再提示する
日本型の起承転結で話すリーダーと、欧米のエグゼクティブが対話すると、「ロジックのズレ」が生まれます。欧米のエグゼクティブにとって、最も重要な資源は「時間」です。冒頭の数分間を「起」や「承」(背景説明)に使っている間、彼らは文脈を評価しているわけではありません。むしろ、こう考えています。
「結論は何か?」 「この会議の目的は何か?」 「どの意思決定が求められているのか?」
結論である「結」にたどり着く頃には、たとえそこに至ったとしても、発言者としての影響力はすでに弱まっている可能性があります。議論をリードする立場ではなく、「情報を報告する立場」として見られてしまうのです。
グローバルにおける英語力とは、単なる語彙力ではありません。いかに論理的に情報を伝え、意思決定につなげるかというスキルです。BMW、Oracle、Goldman Sachsのようなグローバル企業で存在感を発揮するためには、この発想の転換が不可欠です。
日本型ロジック: 文脈 → 根拠 → (暗黙の)結論
グローバルロジック: 結論 → 根拠 → アクション
この違いを理解し、使いこなすことで、英語力は「影響力」へと変わります。あなたの意見は、単に「聞かれる」だけでなく、「意思決定に反映される」ようになります。
日本のビジネスリーダーが持つ「伝える力」を、企業の競争力を左右する戦略的資産へと昇華させる。そのためのコミュニケーション最適化を支援しています。グローバル環境での存在感を高めたいとお考えの方は、ぜひ繋がっていただければ幸いです。
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